コトづくりと
ビジネス・モデルの違い

コラムのタイトルを「コトづくりとビジネスモデル の違い」と書いておきながら、本来は同じです。本来は、同じですが、あえてビジネスモデルと書かないところに、ビジネス・モデルをコトづくりと書くところに意味があります。大辞泉を引いてみましょう。ビジネス・モデルの語釈は、1:「事業として成立する手法や形態。」
2:「利益を生み出す仕組み。」と2つあります。
ピーター・ドラッカーは、ビシネスモデルとは「顧客は誰か?顧客にとっての価値は何か?どのようにして適切な価格で価値を提供するのか?」という質問に対する答えであると説明しています。
これを、大辞泉の語釈と照らし合わせてみると“1”の「事業として成立する手法や形態。」と同じです。この意味でビジネスモデルが使われている時はことづくりと同じです。
コトづくりとは違うビジネスモデルとは?

では、コトづくりとは違うビジネスモデルとは、なんでしょうか?
これが2つ目の語釈である“2”の「利益を生み出す仕組み」の意味で使われたときです。
慈善事業でない限り、企業の事業活動は利益を求めることは当たり前のことではありますが、ある時期から、ビジネスモデル は「そのビジネスモデルはいくら儲かる?」「利益の出るビジネスモデルを考えろ」とあまりにも「利益」重視に偏りすぎてしまいました。
もう一度、ドラッカーのビジネスモデルの定義をみてみると「顧客は誰か?顧客にとっての価値は何か?どのようにして適切な価格で価値を提供するのか?」とあります。ドラッカーの定義は、「顧客」が起点となっています。
顧客を起点としながらも事業として成立する手法や形態をビジネスモデルとしています。

時代は、ユーザー・エクスペリエンス、カスタマー・エクスペリエンスの時代であるといわれています。まさしく、「顧客」を起点にしなければならない時代です。
「利益重視」から「顧客起点」へ。
モノが売れる時代は終わったので、モノづくりに対してモノの対義語になるコトを使ったことづくり を使うことで、利益重視ではないビジネスモデルということを表現しています。